カタルシスの岸辺とは?


「カタルシスの岸辺」は荒渡巌、海野林太郎、高見澤峻介を中心に2017年に東京で結成された「マテリアルショップ」です。プロジェクト毎に参加作家が変わりますが、2019年に髙橋銑が退店、2024年に田中勘太郎がコアメンバーから外れ、2025年現在は大山日歩、宍倉志信、鈴木雄大、岡千穂、みずしまゆめを含めた8人で主に活動しています。

 「カタルシスの岸辺」は「ショップ」という形式で様々な表現活動を行っています。特に注力しているのは「死蔵データ」の収集と販売です。「死蔵データ」とは、「誰にも見せておらず、SNSにもアップロードしていない、自分だけがその存在を知っているデータ」を指します。死蔵データは社会の流れ、あるいは経済合理性からこぼれ落ちたものですが、そこには人間の豊かさや欲望が垣間見えるものでもあります。私たちは、これらのデータの収集と販売を通じて、すべての人々が持つ創造性を称賛し、その価値を未来へと繋げることを目指しています。

出店歴・メディア掲載歴


個店歴
2023「マテリアルショップカタルシスの岸辺 十日町店 &『死蔵データグランプリ2022-2023』記録展」 越後妻有里山現代美術館 MonET 新潟
2023「マテリアルショップ カタルシスの岸辺 死蔵データ GP スペシャルセレクション」YAU STUDIO 東京 2020「光光(KILA KILA)DEPO」EUKARYOTE 東京
2018「Bon Voyage!」上野駅 BREAK ステーションギャラリー 東京
2017「カタルシスの岸辺 2nd season」sezon art gallery 東京

グループ店
2024「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2024」京都新聞社ビル 京都
2023「あきがわアートストリーム2023」旧中島釣具店 東京
2022「カタルシスの岸辺 ポップアップストア ~The 5th Anniversary~」銀座蔦屋書店 東京 2021
2022「3331 ART FAIR 2021」3331 Arts Chiyoda 東京
2020「Public Device」東京藝術大学美術館 陳列館 東京
2019「TOKYO 2021」戸田ビルディング 東京
2019「むびぐみX」金沢アートグミ
2019「金沢彫刻祭 2019」金沢美術工芸大学 石川
2018「現代美術ヤミ市」BUCKLE KÔBÔ 東京
2018「芸宿を送る会」芸宿 金沢
2018「PREVIEW」EUKARYOTE 東京
2017「Super Circulation / 超循環」EUKARYOTE 東京
2017「GINZA 24H SQUAD」銀座某所 東京

パブリックコレクション
2024「( 公 )2 死蔵データセンター@後生協力組合」台湾 桃園市 龍潭区 後生協力組合
2022 「カタルシスの岸辺『光光 DEPO」東京都現代美術 館

受賞歴
2021 3331 ART FAIR 2021「ART BASE88( 宮本初音 ) 賞」

出展実績


 
(公)²死蔵データセンター@後生協力組合 2024年7月29日〜2024年9月21日桃園市龍潭区台北

カタルシスの岸辺初のパブリックアート作品です。2ヶ月間の滞在制作期間を経て、台湾桃園市龍潭区の大北坑地域に設置されました。

本作は一見すると看板のようなオブジェクトですが、その実は「死蔵データセンター」です。現地滞在時に収集した200件以上の死蔵データがデバイス内に保管されており、看板右下部のLEDディスプレイでループ再生されています。

また来訪者はデバイス内のデータのダウンロードと、自身のデバイス内の死蔵データのアップロードが可能です。体験方法は日台どちらにも親しみのある文化である「漫画」によって示されています。新たにアップロードされたデータは定期メンテナンスの際に再びビューワー内に格納され、ビューワーにて再生されます。

加えて、本作の平面部にはメンバーが滞在時に撮影した画像を素材に使用したデジタルコラージュが施されています。これは農村地域である設置場所から着想を得た複合的な農村の姿であり、死蔵データと調和した新しい農村風景画を描き出しています。

このように、複合的な仕掛けが組み合わされたオブジェクトは、死蔵データを中心にした新しい公共圏を地域に開いてゆきます。

・USBストレージ
この作品が「データセンター」たる所以です。microUSB、USB-C、Lightningの3種のケーブルがそれぞれストレージに繋がっており、私たちが収集したデータを・ダウンロードすることができます。データのアップロードはLINEの公式アカウントを通して受け付けていますが、これは台湾の商慣習がLINEに依存したものである部分に着想を得ました。

死蔵データビュアー
4mmピッチのLEDマトリクスパネルによるビューワーです。龍潭で収集した「農業という言葉を聞いてイメージする」死蔵データが再生されます。左下のLEDと地味に同期していて、数分に一度画面を横断するような演出があります。

・デジタルコラージュ転写平面
1枚の大きな画像を分割してレーザープリンターで反転A3出力し、手仕事で転写して大画面を実現しました。ニスを何層にも塗り重ね、時間をかけて研ぎ表面仕上げにこだわりました。

・作品説明&挨拶LEDパネル
本作の核心部分はUSBストレージなので、ストレージへの導線を華・英の二か国語で表示しアピールしています。また時候の挨拶などをランダムで表示することで「親しみやすさ」を演出しています。

・体験方法説明漫画
漫画家ナクヤムパンリエッタ氏とのコラボレーション。ストレージへのアクセス方法、死蔵データのアップロード方法などが網羅的に理解できます。

クレジット

 
マテリアルショップ カタルシスの岸辺 丸田町店 2024年3月1日〜2024年3月3日京都新聞ビル 地下1階京都

ARTIST’S FAIR KYOTO 2024、京都新聞ビル会場に出店した際のマテリアルショップです。2023年に里山現代美術館MONETにて開催された企画展、『「死蔵データGP 2022-2023」記録展&マテリアルショップ カタルシスの岸辺 十日町店」』で用いられた死蔵データ販売屋台の巡回を行いました。主な取扱商品は「死蔵データGP」で集まったデータです。個別にカード化し、トレーディングカードのように配すことで、満足に視聴環境が得られない中でも鑑賞者に多くの種類のデータを比較検討できる機会を提供しました。
また、「マテリアルショップ カタルシスの岸辺 十日町店」で本格的に開始した「死蔵データ買い取りサービス」も実演。好評を博しました。
アートフェア会場という地の利を活かし、死蔵データの過去最大売り上げを達成されたことも特徴的です。

 
越後妻有MonET 連続企画展Vol.1「マテリアルショップカタルシスの岸辺 十日町店×『死蔵データグランプリ2022-2023』記録展 2023年7月1日〜2023年2月27日越後妻有里山現代美術館 MonET新潟県

伝説のイベント、死蔵データGP20222-2023で集結した全254件のデータをカード化し、Moet(越後妻有里山現代美術館)にて販売しました。

販売の際には無人販売所の仕組みを参考にしたZoom遠隔の販売管理システムを新たに導入し、店員が遠隔でショップ店員として応対しました。

また、会期中にはイベントとして死蔵データGP北信越大会を開催。死蔵データGPの最終決戦ROUND2をコンパクトに、タイトに再演いたしました。

さらにマテリアルショップの新たな展開として、死蔵データGPで製作した査定の方程式を応用し直感的に死蔵データの価値づけをするプログラムを開発した結果、死蔵データ買取サービスが実装されました。こへび隊(ボランティアスタッフ)の方々によって100件以上のデータが買い取られました。

【インタビュー記事】
グランドオープン!【マテリアルショップ カタルシスの岸辺十日町店】対談:作家「カタルシスの岸辺」× ゲストキュレータ―椹木野衣

 
死蔵データGP 2022-2023 準決勝/決勝 2023年3月26日〜2023年4月1日YAU東京

死蔵データGPの準決勝/決勝戦イベントを開催しました。

準決勝は特設Webサイトから1日1回できる投票を行い、12件の決勝進出データを選定しました。

来る決勝は有楽町YAUにて現地開催。ゲストにきりとりめでる、青木龍一郎、布施琳太郎を迎え、死蔵データGP2022-2023のラストを華やかに締め括りました。

審査に当たってはこれまで予選で行われてきた死蔵データ評から特に頻出する重要ワードを抽出し、死蔵データを評価するための独自の査定シートを事前に作成。

そのシートを用いて会場に集まった皆さんに査定を行っていただき、よりすぐりの死蔵データの中から最強の死蔵データを決定しました。

さらにイベントの最後にはステージを解体、再設営し、新出張店舗「マテリアルショップ カタルシスの岸辺 死蔵データGPスペシャルセレクション」をオープン!

死蔵データGPで集結した全254件のデータの販売を行いました。

 
死蔵データGP 2022-2023(予選) 2022年7月30日〜2023年3月30日YouTubeオンライン

「公開していない、誰に見せる予定もない、自分しかその存在を知らないデータ一般を私たちは暫定的に『死蔵データ』と呼んでいます。拾いものではなく、自分自身が生成したものであることが条件です」という応募条件のもと、Web上の特設サイトより誰でも自由に参加できました。254件の死蔵データの応募がありました。


データの形式は問わず、映像、音声、写真、テキストのスクリーンショットなど、さまざまなデータが集まりました。集まった254件のデータは、A〜Xの24の予選ブロックに振り分けられ、予選審査の様子は全24回のYouTube番組という形式で公開しました。番組では、応募された「死蔵データ」の紹介と講評が行われました。こうして、さまざまな理由で他者と共有されてこなかったデータが、一躍多くの人々の耳目を集める存在となりました。


24回にわたるYouTube番組では、毎回約10点の応募データが詳細に鑑賞されただけでなく、演劇、音楽、建築、哲学、美術など幅広い分野から招かれた3名のゲスト審査員が、それぞれの基準で応募データについて言葉にし、採点していきました。審査員は合計で73名にも上ります。各ブロックでは毎回1位が選ばれ、その24件の1位が決勝に進出しました。決勝の1stラウンドではオンライン投票が行われ、最終的に10件に絞られました。

死蔵データGP 予選 Aブロック

死蔵データGP オープニング映像
 
カタルシスの岸辺 ポップアップストア ~The 5th Anniversary~ 2022年4月23日〜2022年5月15日銀座蔦屋書店 東京 

カタルシスの岸辺結成5周年を記念して銀座蔦屋書店に出張開店しました。

会場では死蔵データのカード形式での販売や、ちゃかちゃか宝物殿射ゲ牙の銃の販売、光光(キラキラ)DEPOの図録の販売など、新たな展開を行いました。

 
ちゃかちゃか宝物殿 射ゲ牙 2021年10月29日〜2021年10月31日3331 Arts Chiyoda東京都

3331 ART FAIR 2021に合わせて制作された「死蔵データ射的屋台」です。日本の縁日でしばしば出店される射的屋をモチーフとしています。

外装はタープと骨組みで作られた仮設のテントです。ほの暗いテント内では的となるオブジェにプロジェクションマッピングされた死蔵データが再生されています。参加者は100円玉硬貨を使い、それを実際に発射することができる銃、コインガンに装填して発射します。映像が投影された的に命中し、落下させることでダウンロード用のQRコードが印字されたレシートを受け取ることができるようになっています。

この屋台はアートフェア参加作品でありながら屋外に設置され、無料で参加できる点もユニークな部分です。遊戯に用いる銃は3種類あり、宍倉志信、鈴木雄大、大山日歩がそれぞれ手がけました。コンパクトで撃ちやすい銃、一度に大量にコインを発射できる銃、スコープに映像ギミックが付いたリッチな銃などそれぞれ特徴があり、参加者は好きな銃を選ぶことができました。銃から発射された100円玉は的の設置された棚の最下部にあるプールに蓄積していきます。これらは神社の賽銭のようでもあり、同時にそのままカタルシスの岸辺の売上でもあるのです。銃弾・貨幣・賽銭という要素が無理矢理に物理的な紐づけがされ、経済合理性の枠組みを超えた状況が現れるのです。

 
PUBLIC DEVICE ―彫刻の象徴性と恒久性― 2020年12月11日〜2020年12月25日東京藝術大学付属美術館 陳列館東京

『gamujin.com』は2020年に東京藝術大学内で開催された「PUBLIC DEVICEー彫刻の象徴性と恒久性」展にて開店した無人販売所です。


鑑賞者(お客様)は設置されたディスプレイモニターをマウスとテンキーを用いて操作することができます。商品番号を入力しプログラムの実行ボタンを押すと、その場で死蔵データにアクセスできるリンクのQRコードが記載されたレシートが発行されます。各データに値付けされている金額を備え付けられた貯金箱にいれることで、一連の購買行為が完了します。

この作品の制作背景として最も大きな影響を与えたのはCOVID19の流行と、政府による非常事態宣言の発布です。非接触型のショップが次々と世界中で生まれていく中、カタルシスの岸辺は郊外によく見られる野菜の無人販売所に注目し、データの無人販売を実現しました。

これまでの「カタルシスの岸辺」の活動は常に対面販売を大切にしてきましたが、時流に鑑み「無人であること」「現地販売であること」を両立させるプランを採用されたことは大きな転換点ともなりました。

非接触という限られた環境であっても、売買という行為、そして死蔵データという媒体を介して人間の緊密なコミュニケーションを生み出し、懐かしくも斬新な経済活動の可能性を探る試みであったと言えます。

♰♰ 牙無尽どっと混む 死蔵データ購入方法 ♰♰

㈠ 購入したいデータを選び、商品番号を確認してください。
🉂 商品番号をテンキーマウスを使用して打ち込んでください。
🉁 エンターキーで送信してください。QRコードが発券されます。
㈣ データにアクセスできることを確認して、お金を入れてください。

 
光光(KILA KILA) DEPO 2020年10月10日〜2020年11月1日EUKARYOTE東京

外苑前ユーカリオ様にマテリアルショップ カタルシスの岸辺の新形態、光光(KILA KILA)DEPO を開店いたしました。

きらきらする全て

いらっしゃいませ!ようこそマテリアルショップ カタルシスの岸辺『光光DEPO』へ!(キラキラデポと読みますm(_ _)m)
『光光DEPO』…それは全ての死蔵マテリアルが、キラキラになる場所。
ご自宅や仕事場に眠る、使っていない材料、昔つくった習作、心残りで捨てら
れないマテリアルはありませんか?
そんな死蔵マテリアルはカタルシスの岸辺 『光光DEPO』へお持ち寄りくださ
い!腕自慢の加工スタッフがマテリアルに新しい命を吹き込みます。
もちろん、『光光DEPO』なら手ぶらで来ても大満足^ ^ 購入して頂いた素材を
加工スタッフに渡せば、死蔵マテリアルがたちまち大・変・身😤リメイクした
マテリアルは丁寧に梱包し、その場でお渡しor発送いたします!(※要加工
料)
動牙番長も久しぶりに大幅バージョンアップ!楽しいもの、面白いもの、キラ
キラするものがいっぱい!明るく楽しいエコ&リメイクファクトリー、『光光
DEPO』です!✨🔥もちろん死蔵マテリアルだけでなく、死蔵データの提供も
喜んでお引き受けします。
限りある資源を大切に。
カタルシスの岸辺『光光DEPO』はあなたの為の発現する浅瀬です。

「光光DEPO」はカタルシスの岸辺の「初個店」として大いに張り切って企画した肝入り店舗です。
一階のマテリアルショップで素材を購入し、二階の加工室で加工スタッフに「オブジェ」を作ってもらう。加工の待ち時間は3階の「動牙番長2」で上質な動画体験を。そんな新しいインタラクティブをお客さまとの間に創出することを目指しました。

美術家、評論家の小田原のどかさんに店評を書いていただきました。下記よりご覧ください。

終わりなき店開き。小田原のどか評 カタルシスの岸辺「光光DEPO」

光光DEPOの完全アーカイブ冊子が出版されました!200を超える制作物のほぼ全てが総天然色で網羅されております。また、シフト表や売上内訳など気になる情報が満載!
「銀座 蔦屋書店」さま店頭、あるいは「OIL by 美術手帖」さま、もしくはカタルシスの岸辺直販(連絡ください)でご購入いただけます。

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カタルシスの岸辺@TOKYO 2021 2019年9月14日〜2019年10月20日TODA BUILDING 1F東京

建築と現代美術の分野で活躍するクリエイター達が東京という都市の過去を新しい視点で検証し、未来の発見をしていくアートイベント、「TOKYO 2021」でカタルシスの岸辺は店舗イメージを出展いたしました。

『カタルシスの岸辺』に寄せて

ビルの解体というと、ある男のことを思い出す。

我々が今まさに展示しているここ、戸田建設本社ビルは、建て替えられることが決定している。2019年内に既存建物の解体工事に着手する予定で、2021年の着工、2024年には地上28階、高さ173mの超高層ビルが完成する予定らしい。

赤瀬川源平の「路上観察学入門」の中には一木努という男が登場する。一木は建物の「カケラ」を蒐集していた。彼は歯科医でありながら、仕事の合間に時間を見つけてはあらゆる解体現場に出入りし、解体され消えゆく建築の「カケラ」を譲り受け、集めていた。入念なリサーチと、何度も現場を訪れ作業員やオーナーと交渉する姿勢は、生粋の蒐集家といえるし、少しだけアーティストっぽいなとも思える。一木は、20年間にもわたり蒐集活動を続けた。「カケラ」の内容は手すりや装飾、瓦礫など様々で、集めた数は650点以上に及ぶらしい。現場への真摯な姿勢と、金銭で解決せずに、交渉を楽しみあくまでタダで「カケラ」を集める一木のスタイルには、「死蔵データ」を蒐集する「カタルシスの岸辺」の一員として、尊敬の念を抱かずにはいられない。

カタルシスの岸辺は、屋台という形式であらゆる人々のローカルディスクに眠る「死蔵データ」を回収し、販売している。そして、それらの死蔵データの大半は、作品制作の為に撮影、録音、執筆、取材したものの、使われなかったデータたちだ。建築物が解体されて瓦礫の山になり、さらに細かくなって資材にリサイクルされ、資本主義の下で循環の渦に返っていくとき、その循環から逃れた建物の「カケラ」たちは資料としての価値も持つだろうが、一木個人にとっては、その建物の記憶装置であるようにも思える。そして我々が集めている「死蔵データ」もまた、そういった記憶装置のように思えてならない瞬間がある。「死蔵データ」は、作品にはならなかったという意味ではある種の不純物だが、一方で作品に思いを馳せる特別な記憶装置にも成り得るはずだ。一木が建物の「カケラ」を蒐集するかのように、カタルシスの岸辺は「死蔵データ」を蒐集しているのかもしれない。

「祝祭の国」を作るために取り払われた建物の一部だったもの達が、天井に届かんばかりに押し込められた部屋の中で、我々は、瓦礫の山を「カケラ」に見立て、その中に「死蔵データ」たちを並置し、「カタルシスの岸辺」という心象風景、架空の土地を設定する。それはマテリアル・ショップを自称してきた我々が、なぜ「死蔵データ」に惹かれるのかという、マテリアル・ショップ以前の問題意識を掘り下げたものであるといえるかもしれない。我々は祝祭と災害の狭間の、瓦礫の山が詰まった一室で、「カタルシスの岸辺」という死蔵データが漂着する浅瀬の発現を夢想している。(海野林太郎)

 
金沢彫刻祭2019出張営業 2019年8月29日〜2019年9月5日金沢美術工芸大学石川
金沢の思ひ出

『自立と共立』をテーマにした展覧会、『金沢彫刻祭2019』の招聘作家として滞在制作と作品発表をしました。

金沢美術工芸大学内の廃棄物置き場からマテリアルを収集し、即席の屋台を組み上げてデータの販売活動に勤しみました。また、金沢美大が主催する芸術祭であったため、下校時間に合わせて校内アナウンスを使用するなどユニークな集客方法を実施しました。

芸術祭の会場は大学構内と、大学周辺のギャラリーやオルタナティブスペースに点在していたので、即席の屋台を引き回し街中を練り歩き、移動販売にも挑戦しました。

期間中に関連企画としてインディペンデントキュレーターの長谷川新氏とトークセッションを行い、その記録は同展覧会のカタログに収められています。

※8月31日にアートグミで行われた長谷川新氏とのトークセッションは同展覧会のカタログに収録されています。

 
現代美術ヤミ市出張営業 2018年7月21日〜2018年7月22日BUCKLE KÔBÔ東京

2018年7月21日(土)~22日(日)、「現代美術ヤミ市 ――限りなくゴミに近いマテリアルの市」に参加いたしました。

ポータブルコイン式映像筐体の「動牙師匠」のシステムを人体に接続し、接客サービスと試聴行為をシームレスに提供できるようにいたしました。

 
マテリアルショップ カタルシスの岸辺 金沢芸宿店(芸宿を送る会) 2018年4月28日〜2018年4月30日芸宿金沢

石川県金沢市のオルタナティブスペース「芸宿」の移転に際し、カタルシスの岸辺が招致された。

動画の切り売りなどをするマテリアルショップの営業に加え、「動牙師匠」のエッセンスを濃縮したポータブルな筐体「動牙師匠」の初可動や、ボードゲーム「アート・ギーク」の出張営業など、カタルシスの岸辺の過去と現在を一挙に体感できる総力戦的な出店となった。

インディペンド・キュレーターの長谷川新氏に店評をいただきました。下記よりご覧ください。

「芸宿を送る会」カタルシスの岸辺試論

 
PREVIEW 2018年2月16日〜2018年2月25日EUKARYOTE東京

ギャラリーEUKARYOTEの「PREVIEW」展に出店。(2018年2月16日〜2月25日、http://eukaryote.jp/exhibition/preview/)
映像筐体《動牙番長》と、新作のアクアリウムを展示。

 
マテリアルショップ カタルシスの岸辺 超循環3号店(Super Circulation / 超循環) 2018年1月27日〜2020年2月4日EUKARYOTE東京

秋山佑太企画、『超循環/super circulation』展(2018年1月27日〜2月4日)に、内装工事で出た産業廃棄物の“循環”をテーマにオリジナルマテリアルを販売するショップ、《マテリアルショップ カタルシスの岸辺 超循環3号店》を出店。

石膏ボードの端材を圧縮したキューブ、石膏ボードの表面に貼られている紙を漉き直した再生紙、内容物が混入されたままラベルを剥がしたアルミ缶など、「マテリアル」をより深く体験できるオブジェクトが並んだ。

 
カタルシスの岸辺 2nd season 2017年10月1日〜2017年11月25日セゾンアートギャラリー東京

映像販売におけるジュークボックス的プラットフォームの提案として映像筐体《動牙番長》を製作し、セゾンアートギャラリーにて稼働した。(2017年10月1日〜11月25日、2018年4月現在ギャラリーEUKARYOTEにて常設。)

お椀とも、ミサイルとも形容しがたいモルタルの外装、甲殻類のような鋼鉄の脚が生えた重量120kgの筐体には、16人の作家の映像作品が搭載されている。ガラス天板による円形ディスプレイは常に光を発し、100円玉を入れることで筐体がスタンバイモードからセレクトモードに移行し、選択した作家の映像が鑑賞できる。

中華円卓さながら囲んで覗き込む鑑賞体験は、従来の映像作品のありかたを変容させ、これに最適化された新たな表現形式の可能性を感じさせた。
カタルシスの岸辺ではこの筐体をプロトタイプとし、今後のアップデート、量産化を画策中。(2020年10月の光光DEPOにて大幅にアップデートした)

また、同期間中にボードゲーム《アート・ギーク》の試遊イベント、マテリアル即売会「Love&Pain 再出店」を開催。

 
映像屋台 ―Love & Pain― 2017年4月1日〜2017年4月2日銀座某所東京

2017年4月某日に“GINZA 24H SQUAD”という銀座の廃ビルで行われた24時間限定のイベントに一夜限り出現した屋台。「マテリアルショップ カタルシスの岸辺」の封切り出店。

映像素材や音素材など、作品化されずに死像されていたデータをサーバー上に収集。一覧して再生出来るようにし、希望者に映像入りのDVDを販売した。またデータに限らず「マテリアル」と呼称できるようならば取扱い、作品未満のオブジェクトなどを持ち寄り、インスタレーション≒ショップ空間を構築した。

映像屋台 ―Love & Pain―外観
映像屋台 ―Love & Pain―内観1
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